はじめに
チップは、顧客がサービスの質に感謝の気持ちを伝える、アメリカではとても一般的な方法です。
しかし、実際のところ単なる感謝を伝えるだけの方法ではないので、正しい作法を知らなければ思いもよらないトラブルに巻き込まれることもあります。
いつ、どんなときに、どのくらいのお金を渡すべきでしょうか?
アメリカの複雑なサービス料金の仕組みに不安を感じているなら、この記事が役に立つでしょう。
そもそもチップとは何?
チップは「サービスに対する対価として顧客が支払うお金」だと考えられています。
アメリカでのチップ制度は有名ですが、カナダでもチップが必要です。
しかしイギリスやオーストラリアでは一般的な習慣ではありません。
レストランやバーなどで気持ちよく接客してもらったり、タクシーで丁寧な運手で移動して荷物も運んでもらったり、美容室の手技が気持ちよく出来栄えも良かったりしたときに、任意で渡すものという扱いです。
しかしアメリカでは、多くの州でチップをもらうことを前提とした最低賃金が定められているため、労働者はチップなしに生活することができません。
そのためアメリカでのチップは、不慣れな人にとってはとても複雑なものになってしまっています。
チップが引き起こすトラブル
最近は、これまでチップを必要としなかったコーヒーショップや、ハンバーガーレストランといったファーストフードのお店でも、チップを要求されるようになってきました。
注文した後に、タブレットでチップ(15~20%)のボタンを押すように求められることもあります。
アメリカ人の友人に聞くと「その他のボタンを押して、10%のチップにすればいい」「コーヒー1杯にチップを払うとか馬鹿げてる」など、現地で生活していてもはっきりとした基準はないようです。
そのため日本人がそのような場面に遭遇すると、どうしたらよいのかわからずに、立ち止まってしまうこともあるようです。
では、どうすればいいのでしょうか?
チップは必ず払う。しかしサービスによって金額は変える。
基本的にアメリカでの外国人である我々は、特に難しく考えずにチップを払えばよいと思います。
とはいえ、毎回20%にチップを支払っていては、お金が足りなくなって破産してしまいます。
すぐに商品を渡してくれるコーヒーやファーストフード店では10%、ふつうのレストランでは15%、まともなサービスをしてくれたら20%くらいの感覚でいれば心配いりません。
「サービスがあまりよくなかったからチップを払わない」とか、日本のサービスを基準にして勝手に判断すると、従業員だけでなくお店のマネージャーにからまれたりするおそれがあります。
さらに黒人やアジア系、そして女性の店員は、白人男性の店員よりもチップの金額が低いという統計があるため、そのような人種と性別による差別をしているのかとみなされるかもしれません。
海外でのトラブルは、日本のように簡単に解決できないこともあります。
無用な心配を減らすためにも、チップは惜しまずに払いましょう。
忘れがちな「gratuity」のはなし
さてアメリカのレストランでは、お会計の際に自分たちのテーブルにレシートを持ってきてもらうことが一般的です。
レシートの金額を確認して、チップの金額を書き込んで、クレジットカードといっしょに渡して支払いという手順です。
そのときに注意していただきたいのは、「gratuity:$xx」という項目の有無です。
gratuity とはサービス料みたいな意味の単語で、つまりチップを含めたサービス料込みの価格ということです。
なので、請求書のレシートにgratuityという金額がある場合、それ以上のチップを支払う必要はありません。
もちろんレシートにはチップを書く場所があるので、サービスがよかったのなら追加でチップを渡すこともできます。
でもgratuity も支払うのにチップの空欄があるからと金額を記入すると、チップを2重に支払うことになってしまいます。
支払いの前に、レシートの項目は、必ず目を通して見落とさないようにしましょう!
まとめ
アメリカでのチップは、サービス業従事者にとって重要な収入源です。
適切な金額を渡すことは、彼らが生活していくための給与の一部として必要なことです。
一方で、インフレによって物価が上昇していく中で、なんにでもチップを要求される状況は混乱を招いていて、思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
私は以前、ちょっとしたレストランでレシートのgratutyの記載を見落とし、総額の40%くらいのチップを払ってしまったことがあります。
まあサービスの良いお店で、ウェイターさんもとても感激して喜んでいたので、良い経験だったと思っています。
この記事を読んで、みなさんがチップの仕組みを理解して、安全なアメリカ旅行を楽しまれることを祈っています。